近年、健康意識の高まりや環境問題への関心の増大を受けて、“代替肉”(植物由来や培養肉)の市場が急速に成長しています。
従来の畜産業に代わる新しい食肉生産方式として、代替肉は注目を集めており、国内外の企業が活発に参入しています。
今回は、日本と海外の主要な代替肉メーカーについて、その製品や戦略、最新動向などをご紹介します。
日本の代替肉メーカー
日本の食品業界でも代替肉の開発が積極的に行われています。大手食品メーカーから新興ベンチャー企業まで、様々な企業がこの分野に参入しています。
大手食品メーカー
日本の大手食品メーカーは、既存のブランド力と生産力を活かして、代替肉の開発と販売に注力しています。
例えば、大塚食品の「ZERO MEAT(ゼロミート)」シリーズは、大豆を使った植物性の代替肉で、ハンバーグやソーセージタイプの商品があります。
この「ゼロミート」は、デニーズのメニューにも採用されています。
また、日本ハムも大豆たん白を使った「NATUMEAT(ナチュミート)」シリーズを販売しており、ハムタイプやメンチカツなどを提案しています。
この他、伊藤ハムの「まるでお肉!」シリーズや、マルコメの「ダイズラボ」シリーズなど、大豆ミートを使った様々な商品が登場しています。
| 企業名 | 商品名 | 特徴 |
|---|---|---|
| 大塚食品 | ゼロミート | 大豆由来の特徴的な香りを抑え、おいしさと食感にこだわる。動物性素材不使用。 |
| 日本ハム | ナチュミート | ハムやメンチカツなどを展開。 |
| 伊藤ハム | まるでお肉! | 肉の味付けを活かした大豆ミートのカツやハンバーグを展開。 |
| マルコメ | ダイズラボ | 高たんぱく・低カロリーの大豆ミートを使用。 |
| DAIZ社 | ミラクルミート | 発芽大豆を原料に使い、高い栄養価を実現。 |
これらの企業は、環境に配慮しつつ、動物性の肉の風味や食感を再現することを目指しています。
大手メーカーの強みは、既存の販路を活用できる点にあります。スーパーマーケットや外食産業などで、自社ブランドの代替肉製品を展開できるのです。
ベンチャー企業
一方、新興のベンチャー企業も、代替肉市場への参入を果たしています。「ネクストミーツ」は、「NEXT焼肉」や「NEXTチキン」などのリアルな食感と味わいを追求した商品を展開し、注目を集めています。
また、DAIZ株式会社の「ミラクルミート」は、発芽大豆を原料に使うことで高い栄養価を実現しています。同社の代替肉は、2023年5月より、台湾のモスバーガーのプラントベースバーガーに採用されています。
これらのベンチャー企業は、独自の技術やアイデアを活かして差別化を図っています。オンラインショップや専門店での販売に加え、有名シェフとのコラボレーションなども行い、新しい食体験を提案しています。
大豆ミートは動物性の肉に比べて環境負荷が小さく、健康志向の消費者ニーズにも応えられる点が魅力です。今後も、大豆を主原料とした新商品の投入が期待されます。
海外の代替肉メーカー
海外でも代替肉市場が急速に成長しており、様々なメーカーが先行して参入しています。特に米国や欧州のメーカーが目覚ましい活躍を見せています。
米国の代替肉メーカー
米国の代替肉市場を牽引しているのが、ビヨンド・ミートとインポッシブル・フーズの2社です。ビヨンド・ミートは2019年にナスダック市場に上場し、外食チェーンとの提携を積極的に行っています。
デニーズやTGIフライデーズ、サブウェイなどで同社の代替肉製品が提供されています。
インポッシブル・フーズの「インポッシブル・ワッパー」も、バーガー・キングで人気を博しました。両社とも、消費者の健康志向や環境意識の高まりを背景に、代替肉市場の急速な拡大を牽引してきました。
欧州の代替肉メーカー
欧州でも、プランテッドやベジタリアンブッチャーなどの企業が活躍しています。
プランテッドは、植物由来の代替肉を製造・販売するチューリヒのスタートアップです。同社は動物性食肉と同レベルの栄養価を保ちながら、価格引き下げに取り組んでいます。
一方のベジタリアンブッチャーは、植物性の原料を使いながらも、肉のような食感や調理の幅広さを追求したLikeMeatブランドで知られています。
欧州のメーカーは、独自の技術やブランディングで差別化を図っているのが特徴です。
代替肉をめぐる課題
代替肉市場は急成長を遂げている一方で、いくつかの課題も指摘されています。主要企業の経営悪化や、健康・環境への疑念の高まり、原料の安定供給など、様々な問題が浮上しています。
主要企業の経営悪化
代替肉市場の急成長を支えてきた主要企業であるビヨンド・ミートとインポッシブル・フーズが、近年、苦境に立たされています。
両社は環境や健康への配慮を訴求し、市場を牽引してきましたが、高価格や健康・環境への疑念の高まりなどから、消費者の支持を失いつつあります。
特に、遺伝子組み換え技術の使用や多数の原材料を混ぜ合わせた「ウルトラプロセスフード」としての性質が、健康志向の消費者に受け入れられなくなっているようです。代替肉市場をけん引してきた大手企業が軒並み苦しい状況に置かれている現状が浮き彫りになっています。
健康・環境への疑念
代替肉製品の健康面や環境面での効果に対して、疑念の声も上がっています。これらの製品には多くの加工助剤が使われていることから、本当に健康に良いのか疑問視されているようです。また、大量生産による環境負荷の問題も指摘されています。
さらにデロイトの調査によると、代替肉を受け入れない人が多く、文化的に受け入れられないという傾向が見られます。
エドワード・ジョーンズのBrian Yarbrough(ブライアン・ヤーブロウ)氏は、
“肉を食べる人”を”植物由来の代替肉を食べる人”に変えるのは「本当に難しい」
とInsiderに語っています。代替肉メーカーにとって、販売は簡単ではないようです。
原料の安定確保
代替肉の主要原料である大豆やエンドウ豆の生産には、適切な土地、肥料、水の確保が重要な課題となっています。原料の安定供給がなければ、代替肉市場の持続的な成長は難しくなります。
気候変動の影響で作物の収穫高が変動するリスクもあり、代替肉メーカーは原料調達の多様化や、新たな原料開発にも取り組む必要があります。持続可能な原料の確保は、この業界の大きな課題と言えるでしょう。
まとめ
代替肉市場は、健康志向や環境配慮の高まりを背景に急速に成長しています。
日本でも大手食品メーカーやベンチャー企業が積極的に参入し、様々な製品を投入しています。一方で、海外の主要メーカーも日本市場に進出し、代替肉ブームを後押ししています。
しかし同時に、主要企業の経営悪化や健康・環境への疑念の高まり、原料の安定確保など、この分野の課題も浮き彫りになってきました。
代替肉の市場が持続的に成長するためには、こうした課題への対応が不可欠です。
今後は、より健康で環境に優しい製品開発や、原料の安定調達に向けた取り組みが重要になってくるでしょう。

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