フィトテラピー

自然療法の母ヒルデガルト。神秘に満ちた生涯と現代に伝わる癒し

自然療法の母ヒルデガルド。神秘に満ちた生涯と現代に与えた癒し
記事内に商品プロモーションを含む場合があります

ヒルデガルト・フォン・ビンゲンという女性をご存知でしょうか。ハーブ療法を学んだ方の中には名前を聞いたことのある方も多いかもしれません。
彼女は自然療法の母として知られ、女性が本を書くことや勉強することが許されない時代に初めて教皇に認められ、『道を知れ』という古文書を書き残しました。

また、予言や独自の自然療法、音楽など多岐に渡った才覚の持ち主であり、その経歴はより彼女の神秘性を強調しています。

さとみ
さとみ
この記事は、JAMHA認定ハーバリストの筆者が、ヒルデガルト・フォン・ビンゲンの生涯と活動、予言、彼女の提唱した自然療法について解説します。

ヒルデガルトの生涯と活動

自然療法の母ヒルデガルド。神秘に満ちた生涯と現代に与えた癒し
ヒルデガルトは修道女として様々な分野で活躍し、その知恵と軌跡は今日でも引き継がれています。

女子修道院の創設

1098年、神聖ローマ帝国のドイツ王国、ライン河畔のベルマースハイムの貴族の家に、ヒルデガルトは第10子として生まれます。幼い頃から病弱だった彼女ですが、両親は彼女が8歳になるとベネディクト会修道院に預けることを選択しました。

ヒルデガルトは17歳で修道女となり、貧しい人たちのために働きました。幼い頃から超自然的な能力をもっていたヒルデガルトですが、次のような伝説が残っています。

ヒルデガルトが舟の中で盲目の子を連れた母親に出会った際、川の水で子供の目を湿らせて祈りました。すると、子供は再び目が見えるようになった。

 

天啓を口述した古典の執筆

ヒルデガルトは予言者でもあり、その能力はのちに広く知られることになります。

彼女の大きな転機は40歳のとき。それまで自分の特異な神秘体験については口を閉ざしていた彼女でしたが、幻視体験中に「汝が見聞きしたことを述べ記せ」という天啓を受けたことがきっかけとなりました。

ヒルデガルトの口述により執筆された『Scivias (スキヴィアス、道を知れ)』は、当時の宗教界に大きな波紋を呼びました。この古典は26の幻視を記述と挿絵によって記されています。そののち、約500種類の植物、動物、鉱物が網羅されたPhysica(フィジカ、自然学)を口述します。

参考:ヒルデガルト・フォン・ビンゲン

自然科学と医学の分野での活躍

ヒルデガルトは自然科学や医学の分野でも活躍しました。医学・薬草学にも精通しており、ドイツ薬草学の祖とされています。彼女の著作「自然学(Physica)」や「病者に対する書(Causae et Curae)」は、中世の医療や植物学に影響を与えました。

女性のリーダーシップに対する認識を変えた

ヒルデガルトは当時としては異例の女性リーダーであり、修道院の女子修道院長として組織を指導しました。フェミニズムの概念もまだなかった時代、これは中世においては非常にまれなことであり、彼女の存在が女性のリーダーシップに対する認識を変える一助となりました。

彼女は81歳で亡くなり、骨はアイビンゲンの巡礼参詣教会の聖遺物箱に安置されています。

予言者としてのヒルデガルド

ドイツの東西分裂を言い当てた?!


ヒルデガルトは予言者としても名高く、数々の予言を的中させたことでも知られています。彼女は、500年先、1千年先のことまでほぼ正確に予言していました。彼女の残した予言には下記のようなものがあります。

国民たちが教皇の権威を拒否する時代がくる。
ドイツが二分する。

彼女が予言してから約400年後、改革者ルターによる宗教改革によって、新たにプロテスタント教会が誕生しました。多くの国民が、カトリック・ローマ教皇の権威を拒否し、プロテスタント教会指導者を奉ずるようになったのです。
さらに宗教改革から約400年後の1949年、予言通りドイツは東西に二分されました。

さらに、次の予言も的中させています。

神の命令によって、重たい霧と最も濃厚な塵を運ぶ力強い風が北に起こり、人々の喉と目を侵す。それから、男の数が減る。

ヨーロッパの北海から北極にかけての重工業化により周辺河川から大量の汚染物質が流れ込み、公害を生み出し、欧州全域の3分の1の酸性雨を生み出しています。

さらに北極は北半球のスモッグが集中する場所で、この黒く重たい霧(北極霞)には多量の窒素化合物、重金属、硫黄酸化物が含まれていて、ヨーロッパの大気汚染を引き起こしています。そして、この大気汚染が人間の目と喉を傷つけています。
また、環境ホルモンによって男性の精子の数が減り、生殖能力が衰えたことによって男性の数も減っています。

 

ヒルデガルトの音楽と創造力

音楽の創作と初の女性作曲家としての地位

自然療法の母ヒルデガルド。神秘に満ちた生涯と現代に与えた癒し 彼女は神学者、説教者、宗教劇の作家、伝記作家、言語学者、詩人であり、古代ローマ時代以降最初の女性作曲家としても知られています。

ヒルデガルトは音楽にもその天賦の才を発揮し、公式な礼拝曲である典礼音楽の制作にも取り掛かり、「オルド・ヴィルトゥテム・スピリトゥアリウム」など多くの宗教音楽を作曲しました。その印象的な旋律に富んだ聖歌は、77曲にもおよびます。

当時、曲作りは職業的な作曲家に任せられることが一般的でしたが、聖職者である彼女は自ら作詞・作曲を行いました。まとまった曲が遺っている最古の女性作曲家であることからも、彼女の才能が認められていたことがわかります。

ヒルデガルトの自然療法 – ハーブと宝石の活用

自然療法の母ヒルデガルド。神秘に満ちた生涯と現代に与えた癒し

ヒルデガルトは自然療法の女神として世界中で尊敬されており、その知識と活用方法は多くの人々に影響を与えています。

ヒルデガルトの庭と薬草の活用

ヒルデガルトの愛した薬草はドイツやフィレンツェ大学の薬草園に加え、日本の熱海にも「聖ヒルデガルトの庭」が誕生しました。
修道院の薬草の庭であるヒルデガーデンでは、ヒルデガルトが書き残した自然学に基づいた植物の使い方が紹介されています。

身近なハーブの効能と使い方

ヒソップやニガヨモギ、カレンデュラ、カモミール、セージ、ラベンダー、パセリ、フェンネル、メリッサなどの薬草があり、それぞれの効能や使い方が詳しく説明されています。

ヒルデガーデンではセージの香りを嗅ぐことで怒りが収まるとされ、ビールにホップを入れることもヒルデガルトの知恵から生まれたものです。

ヒルデガルトの宝石療法

エメラルドを筆頭とする25種類の石をはじめ、その他の石には薬効があるという考えに基づいた、石を使った治療法です。
これらの石を水やブドウ酒に入れて服用したり、目に塗ったり、あるいはじかに口に含んだりすることで、頭痛や眼病、癲癇、虫刺されなどを癒すことを提唱しました。

 

ヒルデガルトの現代での影響力

現代においても、ヒルデガルトの知恵や治療法は多くの人々の心と体に影響を与えています。以下では、現代社会におけるヒルデガルトの影響力について見ていきます。

ヒルデガルト療法の普及と治療院

彼女の治療法はドイツでは国家資格として認められており、ヒルデガルト療法の治療院やヒルデガルトメニューのあるビオレストラン・ホテルも存在します。
ヒルデガルト式断食の会も開催されており、参加することで心の安らぎや五感の活性化、愛や知恵に気づくことができると評判です。

彼女は石やハーブ、歌うことなど身近なものを用いたシンプルな癒しの方法を提唱しました。また、彼女の治療学は生活習慣と食生活、自然と人間の調和に基づいており、ハーブと宝石の力を用いて人間本来の自然治癒力を引き出すことを目指しています。

また、彼女は初めて「ラベンダー」という言葉とその薬効を紹介したことでも知られています。ヒルデガルドの知恵は、人間の魂の生命力や徳とも結びついており、自然界の神秘、活力とも関連しています。

現代にも伝わるレシピ

オーストリアのゾネントア社の「ヒルデガルトのお茶」シリーズは人気商品のひとつ。これは、ヒルデガルトが残したレシピに基づいてブレンドされたハーブティーです。
ヒルデガルドの智慧を気軽に生活に取り入れることができます。

ヒルデガルド,断食のお茶,ゾネントア,ハーブティー,オーガニック
断食のお茶(ゾネントア)

また、日本においてもベジタリアン向けの雑誌を手がけるveggyから、彼女の薬学に基づいたレシピ本が出版されています。

 

まとめ

ヒルデガルト・フォン・ビンゲンは、多岐にわたる分野でその才能を発揮し、知恵や治療法を後世に残しました。彼女の自然療法やハーブの活用法、音楽や創造力は、現代の私たちにも大きな影響を与えています。

その智慧を受け継いだ治療法だけでなく、身近なところではオーガニックショップでハーブティーなどの商品も販売されています。
これらを通して、現代に生きる私たちもヒルデガルドの知恵を身近に感じることができるでしょう。

さとみ
さとみ
ラヴィステラオンラインショップでもヒルデガルドのハーブティーを取り扱っていますので、ぜひのぞいてみてください♪

ラヴィステラオンラインショップ
ABOUT ME
野田 聡美 | Satomi Noda(編集長)
株式会社ラヴィステラ代表。JAMHA認定ハーバルセラピスト、JOCA認定オーガニックコスメアドバイザー、JADP認定マクロビオティックセラピスト、ソウルナンバー鑑定士、AEAJアロマテラピー検定1級。本業の保護猫の召使いの傍ら、ヴィーガンスキンケアの開発を行っています。