現代社会では、ストレスや不規則な生活習慣によって心身の不調を抱える人が多くいます。そんな中、自然の力を借りて健康や美を追求する「フィトセラピー(植物療法)」への関心が高まっています。
フィトセラピーとは
フィトセラピーは、植物やその成分を用いて健康や美容に役立てる伝統的な療法です。自然治癒力を高め、心身のバランスを整える効果があります。
フィト(Phyto)は、古代ギリシャ語を語源とし、植物全般を指す言葉です。
セラピア(Therapeia)は、セラピーの語源とされる「治療」「療法」「奉仕」といった意味があります。
このふたつの言葉の複合語が「フィトセラピー=植物療法」です。
フィトセラピーの効果
フィトセラピーには様々な効果があります。植物の成分が持つ自然の力によって、ストレスの軽減や睡眠の質の向上、免疫力の強化などが期待できます。
また、心身のバランスを整えることで、疲れにくい体質へ導くことも可能です。
具体的にどの植物がどのような効能を持つのか、その知識は日常生活でのセルフケアに大いに役立ちます。
フィトセラピーの活用方法
フィトセラピーは、食事、スキンケア、アロマテラピーなど日々の様々なシーンで活用できます。例えば、薬膳料理を取り入れたり、肌悩みに応じたハーブを選んでスキンケアに使用したりすることができます。
さらに、自宅で簡単にできるハーブティーやエッセンシャルオイルを使ったアロマテラピーも人気です。これらの方法を取り入れることで、心と体の両方に働きかけることができるのです。
フィトセラピーが怪しいと言われる3つの理由
1. 医学的アプローチとの対立
伝統的な医学的アプローチと植物療法との間には、しばしば意見の相違があります。
植物療法を主流の医療と組み合わせることに関しては、医療専門家の間でも意見が分かれるところです。
フィトセラピーは代替療法に位置付けられることが多いですが、薬も実は、元を辿ると植物の成分から単一成分を抽出したことが始まりです。
2. 一部のネットワークビジネスで誤った知識が広められている
一部のネットワークビジネスでは、ハーブや精油(アロマオイル)を取り扱っています。
これらのネットワークの会社への勧誘を促す際に、フィトセラピーを学んだことのない人によって誤った知識が広められてしまっていることがあります。
例えば、「⚪︎⚪︎の精油はオーガニックで食品グレードなので飲んでも安心・安全」などといった謳い文句です。
日本アロマ環境協会では、精油の飲用は禁止されています。また、オーガニックだから安心・安全だという単純なロジックではありません。
精油は、花や葉、果皮、根などを蒸したり搾ったりして抽出します。例えば、精油1kgを得るために、ラベンダーなら花穂を100~200kg、ローズなら花を3~5トン※も必要とします。
つまり、ハーブとしてそのまま飲食するのとは違い、精油は成分が濃縮されているのです。また、大人と子供でそれぞれ規定量が定められています。
正しく使用された場合にはフィトセラピー(植物療法)は有益な効果をもたらすものですが、使い方次第では健康を害することにもなりかねません。
ハーブや精油は自然のものではありますが、妊娠中に使用できないものや、薬との飲み合わせで禁止されているものもあります。
したがって、フィトセラピーを学ぶ際には、協会や認定講師を通してきちんと知識を習得した人から学ぶようにしましょう。
3. 魔女を連想させたり、魔術的なイメージがある
ヒルデガルトのように、実際に神から啓示を受けたり予言ができたハーバリストも存在したため、そのイメージをもつ方も多いのかもしれません。
16~17世紀には、「薬草魔女」(薬草を使って人々を助けた女性たち)が実在しました。彼女たちは、祈祷やハーブの販売で生計を立てていました。
今のようにエビデンスをとることが難しかった当時、彼女たちは「怪しい存在」とされ、女性が活躍することへの社会的弾圧のため、「魔女狩り」として処刑されてしまった悲しい歴史があります。
また、実際にフィトセラピーがリラックス効果をはじめ身体だけでなく心にも影響を与えることや、星との繋がりについて語られることも、スピリチュアルなイメージや「怪しい」というイメージに繋がっているかもしれません。
フィトセラピーの学び方
フィトセラピーを深く学びたい方には、専門のスクールや講座がおすすめです。基礎から応用まで、段階的に学ぶことができます。
オンラインで学ぶ
時間や場所に縛られずに学びたい方には、オンラインコースが便利です。自分のペースで学習を進めることができ、質問や相談も気軽にできるメリットがあります。
「ルボア フィトテラピースクール」や内閣府認証の「NPO法人日本統合医学協会」など、オンラインコースを提供しているスクールは多く、初心者から専門家を目指す方まで幅広く対応しています。
実践を重視する
フィトセラピーは実践を通じてより深く理解することができます。収穫から加工、調合まで、実際に植物に触れる体験は貴重な学びとなります。
また、実践的な技術を身につけることで、プロのフィトセラピストやハンドケアセラピストとしての活動も目指せます。
協会主催の植樹活動などに参加することも、環境への配慮とフィトセラピーの理念を学ぶ良い機会となるでしょう。
独学で学ぶ
独学で検定を受けることができる資格もあります。
たとえば、日本アロマ環境協会(AEAJ)のアロマテラピー検定1級、2級は、受験資格がないため、独学で学習後、全国の試験場で検定試験を受験することができます。
日本メディカルハーブ協会(JAMHA)のメディカルハーブ検定とハーブ&ライフ検定も、独学で学習後に検定を受けることが可能です。
ただし、「ハーバルセラピスト」や「シニアハーバルセラピスト」は認定校または認定教室で認定講座の修了証が必要となりますので、ご自身の目指す仕事にあわせて、どのレベルの資格が必要か選んでみましょう。
フィトセラピストになるために
フィトセラピストやハンドケアセラピストとして活動するには、専門的な知識と技術が必要です。そのため、資格取得を目指すことが一つの道となります。
資格認定講座
資格取得を目指す方は、認定講座への参加が欠かせません。
日本メディカルハーブ協会(JAMHA)や日本フィトセラピー協会、内閣府が認証している日本統合医学協会などが主催する講座では、専門的な知識と実践技術を学ぶことができます。
これらの講座を修了することで、フィトセラピストやハンドケアセラピストの資格が得られ、自己管理能力の向上だけでなく、プロとしてのキャリアも開けます。
継続的な学びと研究
フィトセラピーの世界は広く、日々新しい発見があります。資格取得後も継続的に学び、最新の情報や技術を追い求めることが大切です。
協会やスクールに所属することで、講座やセミナー、イベントへの参加が容易になり、同じ目標を持つ仲間とのネットワークも広がります。
これらは、フィトセラピーを深め、さらに専門性を高めるために欠かせない要素です。
フィトセラピーを取り入れた生活
フィトセラピーを日常生活に取り入れることで、心身の健康を保つことができます。簡単に始められる方法から実践しましょう。
日々の食事に
薬膳やハーブティーを日常の食事に取り入れることは、フィトセラピーを生活に取り入れる最も手軽な方法です。季節の野菜を使った料理や、体調に合わせたハーブティーの選択など、日々の食生活に意識を向けることで、体の内側から健康を支えます。
協会やスクールには、料理を通じてフィトセラピーを学ぶ講座もあり、食と健康の関連を深く理解することができます。
スキンケアに
自然派化粧品や手作りコスメを使用することで、肌に優しく効果的なスキンケアが可能です。特定の肌の悩みに対応するハーブや精油を選び、自分だけのスキンケアを作り上げることができます。
フィトセラピーでは、植物の持つ自然の力を活用するため、化学物質に頼らない美容方法としても注目されています。
香料に天然の精油を使用したものも多く、お肌の健康だけでなく、精神的な癒しにも繋がるでしょう。
まとめ
フィトセラピーは、古くから人々の健康と美を支えてきた自然療法の一つです。現代社会においてもその価値は変わらず、むしろ日々の生活に取り入れることで得られる効果は計り知れません。
フィトセラピーの基本から応用まで学び、資格を取得し、その知識と技術を日常生活や仕事に活かすことで、より豊かで健康な生活を手に入れることができるでしょう。
自然の恵みを活かしたフィトセラピーで、心身の調和と健康、美容の向上を目指してみませんか?