象やサイを密猟から守る特殊部隊のレンジャーたち。
実は女性だけで構成された、勇敢な女性レンジャーの部隊があることをご存知でしょうか。
男性ですら脱落してしまうほど、その過酷な訓練をくぐりぬけてレンジャーとなった彼女たち。その強さの秘密はどこにあるのでしょうか。
ジンバブエ初の、女性だけの密猟取り締まり部隊
地元の言葉で「勇敢な人」を意味するアカシンガは、ジンバブエ初の女性だけの武装した密猟取り締まり部隊として、ゾウ、サイ、ライオン、その他の野生動物を密猟から守ることをミッションにしています。
2017年の設立以来、アカシンガは数百人の密猟者を逮捕し、ジンバブエのザンベジ下流域でのゾウの密猟を80%減少させてきました。
象牙の残酷すぎる裏側
この16年間で殺された象は8,000頭。
象はいま絶滅の危機に瀕しています。
また、その殺害の方法は銃の他に毒やワナも使用されます。
牙をとるため顔を深くえぐり取り、象たちは想像を絶する痛みに苦しみながら死んでいきます。
アカシンガの設立
オーストラリアの特殊部隊の元兵士、ダミエン・マンダー氏によって設立
アカシンガは2017年、オーストラリアの特殊部の元兵士である自然保護活動家のダミエン・マンダー氏によって設立されました。
10年以上にわたってジンバブエでレンジャーの育成に携わってきたマンダー氏は、イラクでの従軍やアフリカで密猟者との闘いを経験したのち、変化を起こすには地元住民の理解と協力が不可欠だと考えるようになりました。
そこでマンダー氏は、アカシンガのメンバーを募集する際、プンドゥンドゥ周辺の村人、特に女性たちに呼びかけました。
主に男性が活躍するレンジャーの分野において、アカシンガ部隊は大変希少な存在です。
マンダー氏がレンジャーに女性が向いていると考えた理由
マンダー氏は、長年男性レンジャーの訓練をしてきた経験から、レンジャーの仕事には男性よりも女性の方が向いている面があると考えました。
それは、以下の理由からです。
- 女性は男性よりも密猟者からの賄賂になびきにくい。
- 暴力沙汰に発展しそうな事態の収拾において、男性よりも優れている傾向がある。
- 保護本能が男性よりも強い
マンダー氏は次のように語ります。
自然界で最も強いのは、女性の守る本能だ。それを生かさないほうが不自然だ。
アカシンガの選抜テストは、マンダー氏が特殊部隊で行なっていた訓練を手本にして作られています。
訓練は大変過酷なもので、肉体的にも精神的にも極限まで追い込まれます。
参加者37人は3日間、休みなく訓練を受けましたが、途中で脱落したのはわずか3人。
一方で、マンダー氏が数年前に同様の訓練を189人の男性に実施したときには、訓練2日目には3人しか残りませんでした。
今では重武装した総勢200人の女性が、3つの地方議会との契約に基づいてロウワー・ザンベジ渓谷にある保護区8カ所をパトロールしています。
IAPFによると、アカシンガは2017年以来、発砲せずに300人以上の密猟者を拘束し、ザンベジ渓谷の象密猟を80%減少させることに貢献しました。
アカシンガの活躍により、野生動物の目撃記録は約400%増えています。
家庭内暴力や性的暴行の生存者など悲しい過去をもつアカシンガたち
アカシンガに入隊する女性たちは、特殊部隊が受けるのと同様の訓練を受けます。
これらの過酷な訓練に耐えうる理由は、彼女たちの壮絶な家庭環境にも関係しています。
アカシンガのレンジャーたちは、シングルマザーや子どもや家族の養育を担う貧しい家庭であったり、家庭内暴力、性的暴行の被害者など壮絶な過去を背負った女性たちが多いのです。
傷つけられてきた自分と同じように傷つけられる動物たちを守りたい。
家族を養うために誇れる仕事をしたい。
そうした不屈の想いが、彼女たちの精神をより強くさせています。
アカシンガモデルは彼女たちに雇用の機会をもたらし、かつ、野生動物たちを密猟から守ることに貢献します。
マンダー氏はアカシンガモデルの拡大を望んでおり、2030年までに大陸内のすべての密猟鍋をパトロールするために4,500人の女性レンジャーを採用したいと考えています。
アカシンガのほとんどがヴィーガン
動物を保護しながら動物を食すことの矛盾
ヴィーガンであり、公の場でヴィーガン主義について頻繁に発言しているマンダー氏の例に倣い、アカシンガの女性レンジャーのほとんどは家庭でもヴィーガンのライフスタイルを採用しています。
彼のチームがプラントベース食品を簡単に摂取できるようにするために、マンダー氏は、African Vegan on a Budgetの創設者であるニコラ・カゴロと提携して、Akashinga Back to Black Roots Vegan Kitchen and Garden(アカシンガ・バック・トゥ・ブラック・ルーツ・ヴィーガン・キッチン・アンド・ガーデン)を設立しました。
これは、西洋人が工場畜産を導入する前にはアフリカでプラントベースの食事が普及していたことを強調するための取り組みでもありました。
マンダー氏は次のように語っています。
私たちが地球に及ぼす環境への最大の悪影響は食肉産業です。
ですから、自然保護活動家である私にとって、あるグループの動物を保護するために一日中外出し、家に帰って別のグループの動物を焼き、大規模な森林伐採と環境破壊の原因となっている産業を支援するということは意味がありません。
年間1000億匹以上の動物が死んでいるのです。
ジェームズ・キャメロン監督が短編ドキュメンタリー「アカシンガ:勇敢な人たち」をプロデュース
2020年の世界ゾウの日に、短編ドキュメンタリー「アカシンガ:勇敢な人たち」がナショナルジオグラフィック社から公開されました。
このドキュメンタリーは、映画アバターなど大ヒット作品を次々に生み出している、環境保護主義者でもあるアカデミー賞受賞者のジェームズ・キャメロンがプロデュースし、マリア・ヴィルヘルムが監督しています。
地域社会が動物を保護することの経済的利益を理解すれば、武力闘争を行わずに密猟はなくなるだろう。
ナショナルジオグラフィックホームページ掲載の声明より
短編ドキュメンタリーは、現在YouTubeからご覧いただけます。
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International Anti-Poaching Foundation(IAPF)
Akashinga: The Vegan All-Women Anti-Poaching Group in Africa | The Vegan Indians
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