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コスメロスとは?毎年約2万トン以上コスメが捨てられている?!

化粧品
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コスメ業界では、まだ使える化粧品が様々な理由で廃棄される問題、「コスメロス」と呼ばれる現象が、社会的および環境的な課題として注目されています。

この問題は、製造から消費者に至る全過程において発生し、多くの場合、これらの製品は環境に悪影響を及ぼすプラスチック廃棄物となってしまいます。
近年、この問題に取り組むための様々な活動が行われています。

さとみ
さとみ
当記事では、コスメロスの現状とその影響、対策や取り組み、そして私たちができることについて解説します。

コスメロスの原因

製造段階での原因

化粧品化粧品の製造段階では、販売基準を満たさない商品や大量生産によってコスメロスが発生します。
これらの製品は、小さい傷や印刷ミスなど、品質に問題はないものの見た目に難があるために市場に出ることができず、廃棄されるのです。

株式会社モーンガータの調査によると、製造過程などで製造会社から出る化粧品の中身(バルク)の廃棄量は、国内の上位5社だけで年間約2万トンにも及ぶことが浮き彫りになりました。

メーカーや店頭、小売での在庫、テスターも合わせるとさらに膨れ上がり、膨大な量のコスメが毎年廃棄されている計算になります。

参考:毎年約2万トン以上のコスメが捨てられる時代に私たちができること | COLOR Again開発秘話 

販売段階での原因

化粧品販売段階では、過剰発注や売れ残りがコスメロスの大きな原因となっています。
特に、季節商品や限定品の売り切れを恐れて多く発注されることがあり、その結果、需要を超えた商品が廃棄されることになります。

消費者段階での原因

化粧品を使いきれずに捨てる人の割合

消費者の手に渡った後も、流行の終了や使用期限切れなどの理由で化粧品が廃棄されます。また、安価で大量供給されることによる衝動買いや、自分に合わなかった化粧品の放置も、コスメロスを招いています。

2021年に株式会社モーンガータが行なった5,000人の調査では、コスメを使い切れずに捨てるユーザーが86.3%いることが判明しています。

 

コスメロスの影響

環境への影響

環境保護化粧品の廃棄は、プラスチックごみの増加を引き起こし、温室効果ガスの発生にも繋がります。これらは地球環境に大きな負荷を与え、気候変動の加速にも寄与しています。

経済的損失

使われることなく廃棄される化粧品は、単に資源の無駄使いであるだけでなく、製造から販売に至るまでの経済活動の中で生じたコストの損失でもあります。

このような損失は、結果的に消費者にもコストとして跳ね返り、商品価格の上昇に繋がる可能性があります。

コスメロス削減の取り組み

アウトレットの活用

化粧品ロート製薬のように、アウトレット商品の販売を行う企業も増えています。このような取り組みにより、見た目に難があるものの使用上問題のない化粧品が、適切な価格で消費者に届けられます。

寄贈活動

化粧品の寄贈を通じて社会貢献をする企業もあります。例えば、イガリシノブさんが主催するコスメバンクプロジェクトでは、余剰となった化粧品を必要とする人々に提供する活動が行われています。

コスメをアートと融合させる取り組み

2021年に株式会社モーンガータと株式会社エフアイシーシーが共同事業として推進しているCOLOR Againプロジェクトでは、捨てるのではなく人々を魅了するアートに変える取り組み「SminkArt」が行われています。

COLOR Again

<COLOR Againに込めた2つの想い>
“ときめきや自信、創造性を刺激する”という本来の使命が全うされず廃棄されるコスメを、色材として生まれ変わらせることで、生活者が表現する手段として本来の使命を果たす。

“COLOR”という言葉を指定色で表現できないように、人も一色ではなく、無限にあるはず。社会によって色あせてしまった色を取り戻す。

例えば、楽器を奏でながら瞑想し、自己内省した後にSminkArtを用いてコスメから絵の具へとアップサイクルし、絵として表現するイベントも開催されました。

さらに、今後は美大生やアーティストとの制作にも力を入れていくとともに、コスメのインキ化や本格的な塗装が可能になる未来を見据え、空間演出にコスメを活用していくことも展望しているそうです。

私たちにできること

必要な分だけを購入する

消費者として最も基本的な対策は、必要な分だけを購入することです。
特に、安さに惹かれて不要な購入をすることなく、自分にとって本当に必要なアイテムを見極めることが重要です。

環境に優しい化粧品の選択

環境に優しい成分や包装を採用している化粧品を選択することも、コスメロスの削減に寄与します。

オーガニックコスメやヴィーガンコスメは、環境に配慮したパッケージや成分を使用しているものが多いので、選択肢のひとつとしておすすめです。
また、リフィル可能な化粧品の選択も意識すると良いでしょう。

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まとめ

コスメロスは、美容業界全体にとって解決すべき課題ですが、製造者、小売業者、消費者の三者が協力して取り組むことで、その削減が可能となります。

企業側では、生産過程の見直しやアウトレット販売、寄贈活動などの取り組みを通じて、コスメロスの発生を抑える努力がされています。

消費者側でも、購買行動の見直しや環境に優しい化粧品へのシフトなど、一人ひとりの小さな行動が大きな変化を生むことを忘れてはいけません。

コスメロス問題を通じて、美容業界が持続可能な未来に向けた一歩を踏み出すため、私たち全員が行動を起こすことが求められています。

ABOUT ME
野田 聡美 | Satomi Noda(編集長)
株式会社ラヴィステラ代表。JAMHA認定ハーバルセラピスト、JOCA認定オーガニックコスメアドバイザー、JADP認定マクロビオティックセラピスト、ソウルナンバー鑑定士、AEAJアロマテラピー検定1級。本業の保護猫の召使いの傍ら、ヴィーガンスキンケアの開発を行っています。