私たちのクローゼットを開いてみると、時には驚くほど多くの衣服が眠っていることに気づきます。
- 着なくなった服
- サイズが合わなくなった服
- 流行遅れになった服 etc…
これらの服をそのままにしておくのは、スペースの無駄使いであるだけでなく、環境負担にも繋がってしまいます。
しかし、素晴らしい解決策があります。それが、
“服のリサイクル・リユース”
です。
- 日本で廃棄される服の量とリサイクルの現状
- 服をリサイクルするメリット
- 服のリサイクルの現状と課題、対策
- リサイクル・リユースの具体的な方法
当記事では上記に焦点を当て、持続可能な未来を目指しながら、私たちの生活に無くてはならない衣服をより賢明に扱う方法をご紹介します。
日本で廃棄される服の量
画像出典:サステナブルファッション(環境省)
国民生活センターによると、日本で廃棄される服の量は、年間50万トンを超えると推計されています(2020年)。 また、焼却・埋め立て処分されるのは90%以上とされています。
エレン・ マッカーサー財団の報告書(* 1)によれば、2015年の時点では世界全体で、およそ「1 秒ごとにトラック1台分」の衣料品が焼却あるいは埋め立て処分されているとあります。
出典:衣料廃棄物について考える(日本生活センター)
(* 1)エレン・マッカーサー財団「A NEW TEXTILES ECONOMY:REDESIGNING FASHION’S FUTURE」
また、経済産業省の統計によると、日本国内においてアパレルの市場の規模はバブル期の15兆円から10兆円程度に減少する中、供給量は20億点から40億点程度へと倍増しています。
需要に対して大きく上回る供給量は、それだけ廃棄を生み出してしまうことを示します。
また、廃棄される服の82%は焼却や埋め立てで処分され、わずか18%しかリユースやリサイクルは行われていません。
衣服リサイクルのメリットについて
衣服をリサイクルすることには、さまざまなメリットがあります。以下では、衣服リサイクルのメリットについて詳しく解説します。
1. 部屋が整理できる
衣服を整理することで、部屋やクローゼットがすっきりと片付きます。不要な衣服を処分することで、必要な衣服を見つけやすくなり、コーディネイトにかかる時間も短縮できます。整理された部屋は見た目も美しく、リラックスできる空間になります。
2. 誰かの役に立つことがある
不要な衣服のうち、まだ着られる状態のものは、寄付することで必要な人に役立てることができます。
特に途上国や被災地などで衣服が不足している人々にとって、寄付は大きな支援になります。少しの行動でも、社会貢献に繋がることを忘れずに。
3. 環境への負荷を軽減できる
衣服のリサイクルは、新しい衣服の製造量を減らし、環境への負荷を軽減する効果があります。衣服の製造には多くの資源が必要とされますが、リサイクルによる再利用は資源消費を抑えることができます。
また、リサイクルによる衣服の再利用は二酸化炭素の排出量を削減することにもつながります。
以上のように、衣服リサイクルには部屋の整理効果、誰かの役に立つこと、そして環境への負荷軽減など、社会全体にメリットがあります。
衣服リサイクルの現状と課題
衣服のリユース・リサイクル推進の取り組みは進んでいますが、現在もいくつかの課題が残されています。以下では、衣服リサイクルの現状とその課題について詳しく見ていきます。
1. 現状の課題
衣服のリユース・リサイクルを拡大する上での課題はいくつかあります。
- リサイクルを見越した製品設計の不足
一部の衣服はリサイクルが難しい構造になっているため、素材の分別が困難です。
これによりリサイクルプロセスがスムーズに進められず、衣服のリサイクル率が低くなっています。 - 衣服のリサイクル仕組みの未成熟
資源としての古紙やペットボトルに比べて、衣服の回収とリサイクルの仕組みはまだ発展途上です。
特に、衣服リサイクルに必要な技術や施設の整備が不足しているため、効率的なリサイクルが行われていません。
2. 服のリサイクルの現状と課題、対策
現在、衣服リサイクルの課題に対してさまざまな対策が取られていますが、まだ十分な成果は得られていません。
- 製品設計の見直し
より環境に配慮した製品設計が求められています。
例えば、製品を分解しやすい構造や、素材の分別がしやすいデザインの衣服を開発することで、リサイクルの容易さが向上します。 - リサイクル技術の開発
衣服リサイクルに特化した技術の開発が進められています。
例えば、衣料品リサイクルを効率的に行うための新しい分別方法や、再生繊維の製造技術の改善などが研究されています。 - 回収・リサイクル施設の整備
衣服の回収とリサイクルを行うための施設やインフラの整備が必要です。
特に、地域の回収ボックスやリサイクルセンターの設置や拡充を進めることで、衣服リサイクルの促進が期待されています。
3. 個人の貢献
衣服リサイクルの現状と課題を解決するためには、個人の積極的な参加も欠かせません。以下に、個人ができる衣服リサイクルへの貢献方法をいくつか紹介します。
- 不要な衣服のリサイクル・リユース
まだまだ着られる状態の衣服は、リサイクルショップや寄付先に提供しましょう。また、自身で衣服をリメイクすることも一つの方法です。 - 消費の見直し
購入する衣服の品質や量を見直し、必要なものだけを購入することで、無駄な廃棄を減らすことができます。また、地球環境に配慮したサステナブルな衣服ブランドを選ぶことも重要です。 - 衣服の正しい処分
不要な衣服は、自治体の回収ボックスや専門のリサイクル施設に持ち込みましょう。適切な処分方法によって、衣服のリサイクル率を高めることができます。
現在の衣服リサイクルの現状にはまだ課題が残されていますが、個人の意識と取り組みを重ねることで、より持続可能な社会を実現するための一歩を踏み出すことができるでしょう。
リサイクル・リユースの具体的な方法
個人でもできるリサイクルやリユースの方法はさまざまです。以下にいくつかの方法を紹介します。
1. 販売店舗や自治体の回収ボックスを利用する
近年、自治体や企業が回収ボックスを設置しており、そこに古着を持ち込むことができます。アパレルブランドの一部でも、店頭にボックスを設けて回収サービスを提供しています。
2. リサイクルショップやフリマアプリなどを利用する
使用済みの衣服をリサイクルショップに持ち込んで買い取ってもらう方法です。最近では、宅配買取サービスも利用できるようになっており、手間をかけずに買取サービスを受けることができます。
3. 服を寄付する
不要になった服を必要としているところへ寄付することも、服の廃棄を減らすために有効な方法です。
例えば、下記のような方法があります。
- 友人や知人に譲る:近所に住んでいる友人や親戚、知人に不要な服を譲りましょう。
- 近所アプリを利用する:ご近所アプリ(譲れるコミュニティ)を活用して、ほしい人に服を譲ることができます。
- 寄付団体に寄付する:衣類を募集しているNPO法人に寄付することもできます。
4.「資源ごみ」として分別する
不要な衣服を可燃ゴミや不燃ゴミとして捨てる代わりに、「資源ごみ」として出す方法です。「資源ごみ」は繊維問屋や輸出業者などに渡され、中古衣料やウエスなどに加工されます。
- 資源ごみとして分別する:使えない服を資源ごみとして専用の袋に入れ、自治体の指定場所に出しましょう。適切な処分が行われます。
- 焼却処分や埋立処分を避ける:できるだけ焼却処分や埋立処分を避けるようにしましょう。
5. 周囲の人に譲ったり、掃除に活用したりする
友人や家族に衣服を譲ったり、掃除用に使うなどして再利用する方法です。古い衣服を雑巾にリメイクしたり、新しい用途に活用することもできます。
6. 洋服のレンタルサービスを活用する
洋服のレンタルとは、自分の好みやライフスタイルに合わせて、定期的に洋服を借りることができるサービスです。
個人が所有する衣服の数を減らし、必要な時にのみレンタルすることで、衣服の生産量を減らすことにつながります。これにより、資源の消費と廃棄物の生成が抑えられます。
また、常にトレンドの洋服を楽しむことができるだけでなく、収納スペースを節約することができます。
以上が個人ができるリサイクル・リユースの方法です。各方法の実施方法や利用できるサービスは地域や企業によって異なるので、事前に確認することが重要です。
こうした取り組みを通じて、衣服の廃棄物を減らし、環境負荷を軽減することができます。大切なのは、「必要なものだけを買う」消費スタイルにシフトし、限られた資源を大切にすることです。
まとめ
衣服リサイクルは、部屋の整理や誰かの役に立つこと、そして環境への負荷軽減などのメリットがあります。
しかし、まだ課題も残されています。衣服リサイクルの現状を解決するためには、製品設計の見直しやリサイクル技術の開発、回収・リサイクル施設の整備などが必要です。
個人でも、不要な衣服のリサイクル・リユースや消費の見直し、正しい処分を行うことで貢献することができます。
衣服リサイクルは、個々の取り組みが社会全体につながり、持続可能な未来を実現する重要な取り組みです。ぜひ、これらの方法を活用して、衣服リサイクルに積極的に取り組んでみましょう。