プラントベースフードは、近年注目されている食生活の方法で、植物由来の食材を積極的に取り入れることが特徴です。
この食生活は、健康やダイエット、さらには環境保護にも良い影響があるとされ、ヴィーガンやベジタリアンとは異なり、厳密なルールがないため取り入れやすいライフスタイルです。
さらに、プラントベースを実践する際の注意点やポイントについても説明します。
プラントベースフードの特徴・魅力
健康志向と食の満足感の両立
プラントベースフードは、植物性原材料を中心とした食品であり、消費者の嗜好や宗教上の理由、アレルギーや健康上の理由で食事制限がある人々にも対応できる食品です。
そのため、多様なニーズに応えるポイントがあります。
また、プラントベースフードは、ヘルシーな食材を使っているだけでなく、工夫を凝らした調理法や食感によって満足感のある食事を提供しており、食の楽しさも兼ね備えています。
健康志向と食の満足感の両立ができるため、プラントベースフードは多くの人々に支持されており、いわば食におけるイノベーションと言えるでしょう。
環境保護に貢献
プラントベースの食生活を取り入れることで、地球環境にも良い影響があります。植物性の食材の生産は、動物性食材の生産に比べCO2の排出量が少なく、森林破壊の防止や温室効果ガスの削減にも繋がります。
プラントベースフードは森林破壊の問題解決にも貢献できるといわれています。世界における森林破壊の主な要因のひとつに、お肉を生産するための農地拡大があるためです。
世界自然保護基金(WWF)によると2004年〜2017年までの間に南米やアフリカなどを含む世界24カ所で約4300万ヘクタール以上の森林が消失したと報告されています。
これは日本全体の1.1倍に匹敵する面積です。森林消失の要因は地域により異なりますが、特に中南米では牛の放牧や飼料となる穀物の栽培が大きな要因であると指摘されています。
プラントベースフードなら、牛肉に比べ少ない土地で生産できるため、森林保護にもつながると考えられています。
引用元:greengrowers
(参照:森林破壊の最前線)
さらに、世界的なたんぱく質不足の解消にも貢献する可能性があるため、プラントベースフードは持続可能な社会の実現に向けた取り組みとして期待されています。
このように、プラントベースフードは、個々の健康やダイエットだけでなく、環境問題に対してもポジティブな選択肢となることから、その魅力はますます広がっています。
プラントベースとヴィーガンの違い
プラントベース(Plant-based)とヴィーガン(Vegan)は、両方とも動物性の食品を避ける考え方ですが、厳密にいくつかの違いがあります。
プラントベース | おもに植物由来の食品を摂ることを重視しますが、必ずしも完全な植物食である必要はありません。 時折、動物性の食品を摂ることがあるかもしれません。 |
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ヴィーガン | 完全に動物性の食品を避け、また動物由来の製品(革製品、羊毛、蜂蜜など)も使用しないことを目指します。 |
プラントベース | 健康や環境に対する配慮があります。プラントベースの食事は、健康をサポートし、環境への影響を軽減することが期待されています。 |
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ヴィーガン | 動物の権利(アニマルライツ)の主張や動物虐待への反対が主な動機です。 |
プラントベース | 主に食事に焦点を当てており、他の側面(衣服、化粧品など)にはそれほど強くこだわらないことが一般的です。 |
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ヴィーガン | 食事だけでなく、化粧品や衣服など、生活全般にわたって動物由来の製品を避けます。 |
簡単に言えば、プラントベースは主に食事に焦点を当て、ヴィーガンはより包括的に食事だけでなく化粧品や日用品に至るまで動物由来の製品を避け、動物からの搾取をなくすことや動物の権利の主張を目指しています。
プラントベースフードの関連商品
プラントベースミート
プラントベースフード関連の商品は、日々増え続けており、新しい商品開発や改良が積極的に行われています。
プラントベースの食材を使った加工食品も人気が高まっており、大豆ミートや植物性のミルク、チーズ、アイスクリームなど幅広い商品が販売されています。
例えば、カゴメから発売されている豆乳クリームをベースにしたホワイトソースや、お肉を使っていないボロネーゼ、キーマカレー、そぼろタイプの大豆ミートなどがあります。
味噌や醤油など大豆製品で知られるマルコメからは、大豆のお肉を使用したPB「ダイズラボ」シリーズが登場しています。
焼肉風を楽しみたいときには、NEXTMEAT社のNEXTハラミ1.1やNEXTカルビ2.0などの商品があります。
プラントベースフードがある全国のカフェ
近年の市場の高まりや消費者意識の変化を受け、全国でチェーン展開しているカフェやレストランでもプラントベースフードが楽しめるようになりました。
以下は、プラントベースフードが楽しめるカフェの例です。
スターバックス
一部店舗では風力発電を採用、プラスチック製ストローを廃止して紙製にする、など積極的にサステナビリティに取り組むスターバックス。
ケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は、
と公式に説明。
北米では、同社顧客の15-20%がすでにプラントベースミルクを選択をしています。
スタバには以前からプラス50円で牛乳を豆乳やアーモンドミルクに変更するオプションがあったものの、フードには動物由来原料を使用したものしかありませんでした。
しかし、近年はプラントベースのサンドイッチやドーナツ、ケーキなどフードの開発にも熱心で、新しいラインナップが次々に登場しています。
参考:コーヒーには牛乳より植物由来ミルクを-スタバが意欲的な環境目標(Bloomberg)
モスバーガー
プラントベース市場がまだ小さかった頃から、モスバーガーではお肉の代わりに大豆を使用した「ソイパティ」のバーガーを発売していました。
このソイパティは通常メニューにオプションの形で変更できますが、より広い思想やサステナビリティに配慮するため、動物性原料不使用の「グリーンバーガー」も通常メニューとして登場しました。
また、モスバーガーは期間限定ではあったものの「代替魚」のフィッシュバーガー「ソイシーバーガー」を販売するなど、ファストフード業界の中でもいち早くプラントベースフードの開発に取り組んでいます。
タリーズコーヒー
タリーズコーヒーでは、昨今の健康志向の高まりや、多様化する食文化・食習慣のニーズに応えるため、大豆ミートを使用した「畑の恵みのタコライス」や、ピタサンド、プラントベーススイーツ、「野菜仕立てのラザニアプレート」といったメニューを提供しています。
また、2023年9月には八天堂とコラボレーションのもと、「豆乳くりーむパン」を全国のタリーズコーヒー店舗にて発売開始しました。
IKEA(イケア)
業界で先陣を切っていち早くプラントベースフードを取り入れたイケア。イケアのフードコートには、植物性ミルクを使用したアイスクリームや、代替肉を使用したホットドッグやミートボールなどのメニューがあります。
また、物販スペースにもプラントベース(ヴィーガン)の商品がいくつも展開されています。
自宅で作るプラントベースのレシピ
自宅でプラントベースの料理を作るためには、植物性原材料を中心に使ったレシピが必要で、ちょっとしたアイディアやコツさえつかめば、どんな料理も作ることができます。
例えば、お肉の代わりに大豆ミートを使ったハンバーグ、
卵の代わりにかぼちゃと豆腐を合わせるなど、YouTubeやレシピ本でもさまざまなヴィーガン向けやプラントベースのアイディア料理が紹介されています。
センス溢れる美しい映像とサウンドが心地よく、レシピ動画なのに癒しすら感じます。
執筆時点で全世界に244万人もの登録者数がいる大人気チャンネルです。
肉や魚介を使用しない料理はちょっと味気なく感じる方もいるかもしれません。
そんな時は、ハーブや唐辛子、山椒の辛みを利用することで、スパイシーな味わいに仕上げてくれる他、料理に深みを与えてくれます。
野菜や果物、全粒穀物、豆類、ナッツなどが中心の料理は、栄養バランスにも優れており、健康的で美味しい食事を楽しむことができます。
具材と調味液のバランスを工夫することで、麺や野菜と組み合わせた簡単で美味しいプラントベースの料理を作ることができます。
このような料理方法を参考にして、自分だけのオリジナルなプラントベースの食事を作ってみることをおすすめします。
プラントベースフードのデメリット・注意点
栄養バランスを考慮する
プラントベースの食生活では、動物性食材を使わないことから、栄養バランスに注意が必要です。特に、ビタミンB12や鉄分、カルシウムなどの摂取が不足しがちなので、これらの栄養素を含む食材やサプリメントを意識的に摂取することが重要です。
また、タンパク質は大豆や豆腐、豆乳、ナッツなどタンパク質が豊富な植物性食材をバランス良く取り入れることが必要です。
無理のない食生活を心がける
プラントベースの食生活を実践する際には、無理をせず自分に合った食事を選ぶことが大切です。
特に、過度な食事制限はストレスを蓄積させる原因となることがあるため、健康に良い影響を与えるプラントベースの食事を楽しむことが重要です。
また、プラントベースフードが必ずしもヘルシーとは限らず、原材料や食べ方によっては健康上の問題が起こりうることを理解し、食事全体のバランスを考慮しながら取り入れることが大切です。
まとめ
プラントベースフードは、植物性食材を主体とした食生活であり、健康やダイエット、地球環境にも良い影響があるとされています。
関連商品やレシピも日々増え続けており、食の楽しさや満足感も両立できる食生活です。ただし、プラントベースを実践する際には、栄養バランスに注意し、無理な食事制限を避けることが大切です。