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【医食同源】マクロビオティックとは?哲学と食事法、健康効果

マクロビオティック
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マクロビオティックとは、長寿や健康を目指すための食事法や考え方で、日本から世界に広がっています。

今回の記事では、マクロビオティックの歴史や成り立ち、食事法、食材の陰陽などさまざまな面からその魅力をご紹介します。

まずはじめに、マクロビオティックの歴史や基本的な成り立ちについてみていきましょう。

マクロビオティックの歴史

歴史マクロビオティックは、日本人の桜沢如一によって提唱された食事法および思想であり、その起源は19世紀末に遡ります。

現代ではマクロビオティック運動として世界各地に普及しており、日本だけでなく、アメリカやフランスなどにも多くの支持者が存在しています。

玄米・食養の元祖、石塚左玄

石塚左玄石塚左玄は明治時代の日本の医師・薬剤師で、陸軍で薬剤監、軍医を勤めた人物です。
玄米・食養の元祖で、食養会で普及活動を行いました。

陸軍で薬剤監となった後には、食事の指導によって病気を治します。

大衆向けの『通俗食物養生法-一名・化学的食養体心論』を出版する頃には、東京市ヶ谷の自宅にある「石塚食療所」に全国から患者が殺到するようになりました。

食物養生法(写真:NPO法人フードヘルス石塚左玄塾所蔵より出典)

[食物養生法(写真:NPO法人フードヘルス石塚左玄塾所蔵より出典)]

化学的食長寿論(写真:NPO法人フードヘルス石塚左玄塾所蔵より出典)
[化学的食長寿論(写真:NPO法人フードヘルス石塚左玄塾所蔵より出典)]

 

さとみ
さとみ
石塚左玄は、栄養学がまだ学問として確立されていない時代に、食物と心身の関係を理論にし、医食同源としての食養を提唱しました。

 

マクロビオティック創始者の桜沢如一

桜沢如一マクロビオティックの創始者である桜沢如一は、当初、石塚左玄の結成した食養会に所属しており、玄米食を中心とした食事法を研究していました。

桜沢如一は、独自の哲学と石塚左玄の陰陽論を取り入れた食事法を提唱し、民間運動として世界に普及させました。

マクロビオティックの運動は、1928年に桜沢如一が行った講習会から始まり、さまざまな分派が存在します。
共通の特徴として、玄米を主食とし、野菜や穀物、豆類などを副食とすることが挙げられています。

 

世界にマクロビオティックを広めた久司道夫

久司道夫その後、東京大学在学中に食養研究家・思想家の桜沢如一の世界政府運動に関わった久司道夫によって、マクロビオティックはアメリカへ、そして世界へ広められました。

久司道夫は、幼少期から世界平和に関心を持っていました。
1951年、アレクシス・カレルの『人間-この未知なるもの』を読み、人類の問題は食物と環境から起こることを再確認し、マクロビオティックの考え方に完全に呑みこまれたと語っています。

アレクシス・カレル 著(三笠書房)

肉、卵、牛乳などの動物性の多い食事から植物を中心とした食事を提唱し始めたとき、当時のアメリカではこの思想は完全に異端視されました。

その後、地道な活動を経て、1966年ボストンに自然食品店エレホンを開店させます。

さとみ
さとみ
その際、訳語として natural food erewhon と看板に掲げたことにより、natural foodsという単語が世界中に広まることになりました。

久司氏は、考究した「クシ・マクロビオティックス」の実践を世界に広めるべく、北米を中心に欧米やアジア、アフリカなど世界各地でセミナー、講演会などの教育啓蒙活動を精力的に行ないました。

 

マクロビオティックの成り立ち

マクロビオティックの哲学と理念

マクロビオティックマクロビオティックは独自の哲学を持ち、一物全体、身土不二、陰陽調和といった理念を柱にしています。

マクロビオティックの理念
一物全体 食べ物を丸ごといただくこと。
身土不二 自分が暮らしている土地や季節に合った食材を摂ること。
陰陽調和 陰陽のバランスを考えた食事を心掛けること。

これらの哲学を基に、食事だけでなく生活全般をより健康的に改善していくことが目指されています。

また、マクロビオティックの実践者はマクロビアンと呼ばれ、健康や環境に配慮した食生活を送ることが特徴です。

乳がんや糖尿病などの疾患に対して、マクロビオティックが効果的だとされる臨床試験も行われています。

 

マクロビアンの食事法

マクロビアンは、基本的には玄米や全粒粉を主食とし、豆類、野菜、海草類、塩から組み立てられた食事を中心にします。

陰陽を意識した食材選び

マクロビオティックマクロビオティックでは、植物性食品を中心に、陰陽調和を意識した食材を選びます。

食品は「陰性」「中庸」「陽性」に分類され、これによってバランス良く食事を組み立てます。マクロビアンの食事は、乳製品や砂糖、添加物などを避け、自然に近い状態でいただくことに重点が置かれます。

また、食事によって私たちの生命エネルギーや感情のバランスが変わるとされており、陰陽を考慮した食材選びが大切だとされています。

陰陽

マクロビオティックを実践するとき、まず、この「陰陽」が基準になります。

実は陰陽とは「物事には両面あります」ということなのです。
プラスとマイナス、昼と夜、光と影、男性と女性など、私たちのまわりにはすべて2つの相反する関係があります。

それぞれ、どちらがいいとはいえず、一方があるからもう一方がある、両方ないと成り立たない、互いに必要とする関係です。そしてお互いに補い合い、引き合い、絶えず変化しながらバランスをとっています。

その相反するふたつを「陰・陽」と分類しているのです。

出典:クッキングスクール リマ

 

自然と調和を大切に

自然との調和マクロビアンの食事法では、自然と調和し、心身の健康を維持・向上させることが目的です。そのため、旬の野菜や地元産の食材を積極的に取り入れることが推奨されています。

また、料理手法もシンプルなものが好まれ、素材の味を生かした調理が中心となります。

穀物は古来より人々の生命を支えてきた主食であり、マクロビオティックでは特に玄米が重視されます。

玄米はバランスの良い栄養素を持っており、長寿や健康づくりに欠かせないとされています。

 

マクロビオティックの陰陽表

陰にも陽にも偏らない中間のことを、中庸(ちゅうよう)といいます。

マクロビオティックでは、陰性か陽性どちらかに偏らず、中庸に近い状態でいることが望ましいと考えます。
つまり、陽性の強い食べ物や陰性の強い食べ物は控え、中庸に近い食べ物を中心にすることが基本となります。

マクロビオティックの陰陽表

マクロビオティックの陰陽表
出典:クッキングスクール リマ

 

マクロビオティックとベジタリアン、ヴィーガンの違い

マクロビオティックとベジタリアニズムは、ともに植物性食品を中心とした食生活を指しますが、その主義や思想、最終的な目的に大きな違いがあります。

ベジタリアニズムの定義と目的

ヴィーガンベジタリアニズムは、肉や魚を避けて植物性食品を中心に摂る食生活ですが、現代では肉や乳製品、卵、動物製品などの避けるべき対象が細分化されています。

代表的なベジタリアンの形態には、ヴィーガンがあります。

ヴィーガンは食用だけでなく、衣類や品物にも動物を利用しない原則を実践しています。動物保護の観点から肉を食べない主義を貫くのがベジタリアニズム、ヴィーガニズムの特徴です。

一方、マクロビオティックでは、「身土不二」や「一物全体」、「陰陽」の思想に基づいて食生活をし、健康や長寿を目的としています。
環境や地域の保護に貢献できる食生活を送りますが、動物保護が主な観点ではありません。

 

食材の選び方の違い

プラントベース,ヴィーガンマクロビオティックでは基本的に禁止される食べ物はなく、体調やバランスに応じて肉を食べることもあるため、完全な菜食主義ではありません。

穀物を中心に野菜を多く摂る点はベジタリアンと似ていますが、主義主張は異なります。

マクロビオティックは奥が深く、最初からすべてのルールを守るのは難しいかもしれませんが、自分に合った方法から少しずつ始めることができます。

 

マクロビオティックの効果

健康マクロビオティックが健康に与える影響は、個人差があるので一般的な結論を出すのは難しいですが、一部の実践者は以下のような健康への影響があったとしています。

1. 身体のエネルギーバランス

マクロビオティックの食事法では、陰陽のバランスと五行説に基づいた食材の組み合わせを重視します。これにより、身体のエネルギーバランスを整え、健康を促進する助けになるとされています。

2. 消化器官の健康力

食物繊維を多く含む自然食品を摂ることが奨励されており、これが良好な消化器官の機能を維持するのに役立つとされます。

3. 体重の調整・ダイエット

バランスのとれた食事により、ダイエットや適切な体重を維持するのに寄与する可能性があります。

4. 心身の調和

マクロビオティックは単なる食事だけでなく、生活習慣や精神的な側面も含みます。これが心身の調和を促進し、ストレスや精神的な不調に対する抵抗力を向上させるとされています。

マクロビオティックの実践には個々の健康状態や体質によって効果が異なるため、具体的な健康効果を期待する前に、医師や栄養士と相談したり、書籍や料理教室などを通して知識をつけることが大切です。

 

マクロビオティックの普及と現代における広がり

マクロビオティックは、日本から海外へと広がり、アメリカやフランスなどでも実践者が増えています。

日本の食材を世界へ

マクロビオティックが広まるにつれて、その原則に基づいた日本の食材や調理法が世界に広まっています。

海外のマクロビオティック料理教室では、日本の素材を生かした料理が教えられており、その美味しさや健康効果が評価されています。

また、マクロビオティックに関心を持つ人々によって、日本の食材や調理法が見直され、日本人自身もマクロビオティックを再評価する機会が増えています。

 

有名人の実践による影響

アメリカを中心にマクロビオティックは広まり、有名なモデルや歌手などが実践したことで健康意識の高い人々にも知られるようになりました。

これにより、食のみならず、生活全般においても陰陽思想を取り入れることが広がっています。

現代では、料理教室やワークショップが開催されており、多くの人がマクロビオティックに興味を持っています。

マクロビオティックを実践する有名人

ジョン・レノンとオノ・ヨーコは、1980年のPLAYBOYのインタビューで、食事はほとんどマクロビオティックだと答えており、マクロビオティックの料理番組に出演したこともありました。
(参考:Wikipedia

ほかにも、坂本龍一、ジョンデンバー、マドンナ、グウェネス・パルトロウ、クリントン元大統領など、国内外問わず様々な有名人がマクロビオティックを実践しています。

 

まとめ

マクロビオティックマクロビオティックは、健康や長寿を目指すための食事法であり、日本から世界に広まっている考え方です。
玄米を中心とした、陰陽調和のとれた食事により、心身の健康を維持し、自然や地域と調和することが目的です。

ベジタリアニズムと似ている側面がありながら、異なる目的や生活の観点からアプローチしていることも大切なポイントです。

さとみ
さとみ
今回の記事でご紹介したマクロビオティックの知識をぜひ活かして、自分に合った食生活や価値観を見つけてみてくださいね。

生活全般においても陰陽思想を取り入れることで、きっと健康的で充実した毎日を過ごせるはずです。

ABOUT ME
野田 聡美 | Satomi Noda(編集長)
株式会社ラヴィステラ代表。JAMHA認定ハーバルセラピスト、JOCA認定オーガニックコスメアドバイザー、JADP認定マクロビオティックセラピスト、ソウルナンバー鑑定士、AEAJアロマテラピー検定1級。本業の保護猫の召使いの傍ら、ヴィーガンスキンケアの開発を行っています。